皮膚と同様に、口から肛門に至る消化器官は外界とつながっています。
それ故外界からの異物や有害物質、ウイルスや細菌などの驚異にさらされています。
特に腸は体内と体外の関所として大切な役割を果たしています。
私たちの身体の緻密でダイナミックな働き
ホメオスタシス
私たちの身体は、私たちの意思とは関係なく、ダイナミックにそして緻密な働きでホメオスタシス(恒常性)を保ち、毎日の生活を支えています。
考えれば考えるほど不思議な世界であり、感謝せずにはいられなくなります。
例えば、酸塩基平衡
細胞内はほぼ中性のph7.0、血液はph7.4±0.05というごくごく狭い範囲の弱アルカリに保たれています。
しかし食べた物や細胞の活動によって、身体は酸性やアルカリ性に傾きます。
そうすると、呼吸は自然と浅くなったり深くなったりして二酸化炭素の排出量を調節し、血液のphを調整します。
呼吸の微妙な変化なんて自覚していますか?
腎臓は尿中に酸を排出することで、血液のphを調整しています。
血液中で重炭酸イオンと酸が結合し、腎臓で濾過されたのち酸のみ尿中に排出されます。
残された重炭酸イオンは再吸収されて血液中に戻ります。
こんな化学反応、説明されてもちんぷんかんぷんなのですが、私が理解しようとすまいと、腎臓は働き続け、尿中に酸を排出し続けてくれます。
このようにして、例え私のように大雑把な性格であろうと、身体は緻密に働き血液のphが保ち続けられているのです。
こういった働きは身体の至るところで行われています。
体温調整、血糖値の安定、自律神経を調節、ホルモンの分泌、エネルギーの産生・・・等々。
書き出せばきりがないというか、自分自身ぜんぜんわかっていないところで身体が自ら調整し、私たちを健康に生かしてくれています。
そんな仕組み、つながりを考え始めると、身体が愛おしくなってきます😘
小さな歯車の狂い
このように、私たちの身体は、私たちの知らないうちに、いたるところで、ダイナミックに、かつどうしたらこんなに微妙な調節ができるのだろう?と不思議になってしまうほど緻密にバランスを保ち続けてくれています。
それ故、ほんの少し歯車が狂うことによって、身体はうまく機能しなくなっていくのだろう、と思います。
確かに身体はそんなにやわいものではありません。
与えられたダメージを回復させる機能もダイナミックかつ繊細で、力強いものがあります。
しかし怖いのは、『炎症の慢性化』です。
小さな小さな歯車の狂い、『炎症』が慢性化することによってはじまる負の連鎖。
その『炎症』は些細な『小さな刺激』から始まります。
細菌やウイルスといった『大きな刺激』は急性炎症としてわかりやすく、そのときに対処すればオオゴトにならずに済むことが多いですが、『小さな刺激』(化学調味料や農薬などの化学物質のほか、人体に有害に働くもの)は『慢性炎症』として積もり積もっていくから怖いのです。
小さな刺激は化学物質だけではありません。
例え有害物質でなくとも、”過ぎたるは及ばざるが如し”、というように、食べすぎも小さな刺激となって積もっていきます。
そう考えると、細菌やウイルスよりも見過ごしがちな食べ物の質、生体リズムを狂わせる生活習慣から食べすぎに至るまで、ほんの些細なと思って見過ごしがちな毎日の積み重ねのほうが本当はとても大切なのです。
生活習慣を見直しましょう!とよく言われるのはそのためなのです。
腸と健康の深い関係
なぜ腸が大切なのか
腸は第2の脳と呼ばれ、脳からの指令を受けることなく24時間、私たちの身体を支え続けています。
それどころか、腸が脳をコントロールしている、とまで言われるようになってきました。
腸はいくつもの大切な役割を果たしていることがわかってきています。
消化・吸収・排泄・合成・免疫・解毒・ホルモン分泌と、働きは多岐にわたります。
腸は生活習慣病とも関わっているといわれ、腸内細菌がインスリンの分泌を刺激する「インクレチン」という物質をつくりだしていたり、尿酸のコントロールにも腸内細菌が関わっているといわれています。
免疫と最も深く関わる大切な器官であること、心の健康に関わるセロトニンなどのホルモンの分泌も行っていることもわかってきており、腸の健康を保つことが注目され始めているのです。
※合成に関してはこちらのページを参照してください。
また、腸は外界との接点です。
外界からの異物や毒素、ウイルスや細菌を排除しつつも、身体に必要なものは取り入れなくてはなりません。
身体の免疫細胞の7割が腸にあるのはそのためです。
腸の働きが狂うことによって起こるアレルギー。
自己免疫疾患と言われる病気のもともとの原因は腸内環境にあるといわれています。
ガンや肝疾患も腸の環境を整えることによって発症しないですむかもしれません。
また、腸は腸内細菌との連携プレーで私たちの身体を護っています。
特に大腸には、たくさんの腸内細菌が棲んでいます。
腸内細菌の力を借りて、最後の消化を行い、吸収し、不必要なものを体外に排出します。
この吸収・排出がうまくいかないと、体内に毒素が回ることになります。
必要なものだけを吸収し、不必要な老廃物や有害な毒素は速やかに排出する、それのできる健康な腸をキープすること、それがとても大切なことなのです。
さて、このようにさまざまな働きをしている腸ですが、それ故”炎症”も起こりやすい臓器です。
慢性的に炎症が起きていると、細胞は壊れていきます。
腸の場合だと、リーキーガットという症状を起こすことになります。
(腸の壁に隙間があき、身体の中に入っては困るものまで通過してしまう症状)
そして漏れて体内に入った毒素は全身に回り、体中に炎症を起こす火種となってしまいます。
腸内細菌はバランスと多様性がカギ
腸内細菌は、善玉菌が多ければ良いわけではなくて、バランスと多様性が大切だと言われています。
では、プロバイオティクス(有用菌のサプリメント)は本当に有効なサプリメントなのでしょうか?
「そもそも人為的に有益なバクテリアとして選別すること自体が、私は人間の思い込み(傲慢)だと考えています。人間の勝手な思い込みどおりに自然は動きません(「慢性病は現代食から」より引用)
人が作為的に選んだ細菌たち。
プロバイオティクスやプレバイオティクス(大腸にすむ善玉菌のエサとなるもの)のサプリメントが、本来なら細菌がほとんどいないはずの小腸内に細菌を増殖させてしまう可能性が指摘されています。
良いと言われているある特定の物を抽出して摂取すること、私たちはそれで健康になった気になっていますが、本来は複合的に働くものである、その一部分を取り出して、それは本当に有効に働いてくれるのでしょうか?
それは私たちが販売させていただいているmOrganicsのコスメに通ずる考え方です。
キーワードは、バランスと多様性です。
それは、”できるだけ自然なもの”、という視点で見ていくと自ずと達成できるものであると思っています。
そういった意味では、純粋培養された納豆菌で作られた納豆よりも、藁を巻いてつくった納豆が食べたいですよね。
工場生産された味噌や醤油よりも、味噌蔵や醤油蔵に棲み着いている麹菌を使った味噌や醤油を食べたいです。
大量生産されてスーパーで売られている発酵飲料より、家に棲み着く菌や果物に付いている菌で発酵させた自家製発酵ジュースを飲みたいです。
自然は多種多様な生き物たちのハーモニーで成り立っています。
自然な暮らしの中でバランスと多様性を大切にしながら生きること。
その中で自分の体調を見極め調整しながら生活すること。
それが大切なのだと思っています。
≫≫SIBO
腸は解毒作用も担っている!
有害物質を排泄するだけでなく、健康な腸は解毒作用も担っており、それによって肝臓の負担を減らすことができるようです。
腸内細菌が発がん性物質などの毒性低減に関与しているといわれています。
ある腸内細菌が発生させた毒素を他の腸内細菌が解毒したりもしているそうです。
有害物質を生み出す細菌もいれば、それを解毒する細菌もいれば、その解毒をする肝臓を助ける物質を生み出す細菌もいるのです。
腸内細菌のバランスと多様性が大切、というのはこういうことでもあるのです。
腸粘膜には、体内に有害物質を通さないバリア機能があります。ところが、腸粘膜が傷つき細胞の結合部が緩むと、それらが通過しやすくなります。これがリーキーガット症候群です。リーキーは「もれる」、ガットは「腸」という意味です。
腸からもれ出た物質は、血中に入り、門脈(消化管から肝臓へ向かう血管)から直接肝臓に流れ込みます。そのなかには、腸内細菌由来の刺激物質も含まれています。
例えば、腸内細菌由来の毒素(エンドトキシン)は、肝臓のさまざまな細胞を刺激して、炎症や肝臓の線維化(肝臓がかたくなること)を引き起こします。つまり、NASHが悪くなり、肝硬変へと進行していくのです。
このように、肝臓は腸内細菌や、腸内細菌の代謝物の影響を強く受けます。
腸内細菌の産生物には、脂肪肝を抑制するものもあります。
食物繊維やオリゴ糖などをエネルギー源にしている特定の腸内細菌は、短鎖脂肪酸(酢酸や酪酸など)という有機酸を産生します。
この短鎖脂肪酸が門脈から肝臓に入ると、脂肪合成にかかわる酵素の発現を阻害して、脂肪肝を改善させることが、ヒトや動物の実験で明らかになっています。
このように、腸内細菌と肝疾患(脂肪肝)には、密接な関係があるのです。
(https://tokusengai.com/_ct/17249268より引用)
※腸自体の解毒作用に関してはこちらのページを参照してください。
トイレの時間は健康チェックの時間
腸は老化が進みやすい臓器だと言われています。
腸を護るためには、腸に取り入れるもの、すなわち食べ物や飲み物の”質と量”が大切になります。
日々の健康のために、健康で幸せな最期を迎えるために、腸をいたわる生活習慣をこころがけてみませんか?
腸をいたわることが、肝臓を守ることにつながり、肝臓が元氣で体内の炎症が少なければ身体の健康につながり、心臓病・ガン・自己免疫疾患から、はては脳の疾患の予防にまでつながります。
腸の健康状態はわかりやすいです。
今日、排便は何回ありましたか?
どんな便だったでしょうか?
匂いはどうでしょうか?
便は腸の健康のバロメーターです。
今日も私の腸は元気かな〜?と便チェック&内なる腸の声を聴き取ることを毎日の習慣にしていただけると嬉しいです!
手を当てて腸に話しかけます。
今日も元気かな〜?
今日もありがとう!って。
トイレの時間は暗記タイム!として単語を貼り付けていたのは遠い昔の記憶。笑
これからは”トイレの時間は健康チェックの時間”として有効に活用していきたいですね!